589、「北斎とジャポニズム」展を見る |
上京のついでに、上野の国立西洋美術館で開催されている「北斎とジャポニズム」展を訪れた。北斎を見たかったからであるが、この展覧会は寧ろ北斎より、西欧藝術が当時北斎にどれだけ影響を受けていたかを示すのが主題の展覧会で、北斎との対比でそれら絵画や工芸品がたくさん並べられていた。
Hokusai and Degas at the entrance of the exhibition
この展覧会の引き立て役に過ぎないかのような北斎の浮世絵や北斎漫画の画集の扱いだが、それでもその迫力は圧倒的だった。描写や構図だけが美術作品の全てではもちろんないのだが、それだけをみれば、北斎と西欧画家たちの絵は、まるで大人と子供、プロとアマ、本物とまねくらいにその違いが歴然としている。すごい技量だ。
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ひと筆で
描く生き物いきいきと
画板とびいで動きだすよう
Drawing by a one stroke
The creature is so vivid
As if moving and running away
Jumping from a drawing board
Hokusai's picture drawn with a single stroke of the brush "fox fire"
Hokusai's crowding rabbits
The part of Hokusai cartoon just like an animation
大胆な構図にこめる
鮮やかな画作の意匠
詩情もそえて
With a bold composition
Design of a vivid work of Hokusai
Is very splendid
Adding a poem feeling on that
北斎の代表作とも云える「赤富士」や「大波, the big wave」とともに、一枚の、自分が大好きな浮世絵「富嶽三十六景,駿州江尻」を見ることもできた。主役の富士は一筆の細い線で描かれ、その前景に風に揺すられている2本の斜めに傾いた木と、強風に煽られて草原をゆく旅人、その風で吹き飛ばされた蓑傘や紙切れがさっと描かれている。それにもかかわらずやはり主役は富士山なのである。美しい詩情にあふれ、まさに見事というしかない。
One of 36 Sceneries around the Mount Fuji
こうした絵をみながら、北斎とはいったいどういう人だったのだろうかと、もっと知りたくなった。その場でスマホでアマゾンに明治初期に飯島虚心によって文語体で書かれた「葛飾北斎伝」という岩波文庫本を注文した。読むのが楽しみである。
A self-portrait of Hokusai at age 82. Seems to be a man with an extraordinary personality