32、庭の春、初夏の花(1〜9)を詠った36首(2009〜2012) |
庭の春、初夏の花(1〜9)を詠った36首(2009〜2012)
2009/5/4 春の花
188、うっすらと赤さ膨らみ今朝の陽に薄ピンクに開く山桜かな
189、えんじ色の小さき花のえんれいそうオンコの根元に五株になりて
190、真っ白な花房多し蝦夷シロの吾が庭制す満開となれり
191、敷石に沿うように咲く芝桜赤紫鮮やか去年にも増して
5/11 春の花を詠う5首
192、サクラ散り我が裏山は一夜にて春の錦絵色とりどりに
193、ゆきヤナギ夏の打ち上げ花火かな白い花列の縦横に走りて
194、今春も白根葵の丸い芽よ忘れた頃に地から顔出す
195、松の根元白山ちどりの株増えて紫のつぼみ膨らみており
196、植え替えて三年咲かず諦めし白ぼけの下枝に蕾み鈴なり
5/19 タンポポの花を詠う5首
197、一面の黄色の絨毯タンポポの花をし見ればフランスを想ふ
198、我が庭の敵(あだ)なる草タンポポも土手に咲きては春の立役者
199、レダンなるタンポポ畑懐かしくピッサンリサラダ朝の食卓に
200、タンポポの胞子飛ばして遊びたる甘酸っぱさの幼き日遠く
201、道ばたのダンジェロン旺へ憎々し吾その花をタンポポと呼ばず
2012/5/28 早朝の春たけなわの庭
202、この春は五株になりぬ紫のぼんぼりのやうな白山千鳥
203、年ごとに花数増へし白やまぶき今年もみごとに茶庭に佇む
204、地下茎で諸処に広がる背を屈む薄むらさきの三寸あやめ
205、枯れたかも心配よそに葡萄枝の新芽見えたり今年も豊作や
206、花開く日光、コンコルド、やまつつじ、琉球つつじと春はたけなわ
207、庭陰にやと根付きしか深山花ゆかしく咲くは白根葵よ
2010/6/1 雨上がりの庭や山を見てよめる9首
208、紫のロディの大輪たおやかにシアトル家の窓辺想ひ出ず
209、雨上がりシベリアアヤメ琥珀色の花弁広げて凛として立つ
210、昨年は花満開のカメリアに緑の葉のみヒョロヒョロとのびて
211、ビニールの覆ひを取れば力強くイタリアントマトに濃緑の葉伸ぶ
212、吾が庭の紅三色はしだれもみじ、赤葉楓にスモークトリー
213、庭に伸びしキングサリーの花房のつき様咲きようフジの花に似て
*
214、雨雲の去り往く空に目をやれば盤渓の山に霞たなびく
215、波をうつ樹海の緑眼に迫り滝音聞こゆ二階の一室
216、球場のライトに浮かぶ樹海の襞しらじら輝き魁偉の絵の如く
2011/6/4 新緑の樹海、庭木を詠う2首
217、庭の奥に佇むごとく 薄桃の透き通る花塊日光つつじ
218、夕闇に浮出る白は 黒船と花壇に広がるイビリスの花
6/6 日曜初夏の朝に詠う5首
219、朝の陽に山覆う靄かき消され青空に溶け緑現わる
220、発芽遅るインゲンマメは今朝になり土を蹴破り列なし芽吹く
221、我が畑にローズマリーの苗並べ大きくなれとジョーロ水撒く
(野村萬斎のTV番組をみて)
222、鬼気迫る稽古すさまじ伝統の芸を引き継ぐ萬斎の顔かな
223、型生かしなお型変へる狂言の種の進化思はす真剣勝負