秋田、東京出張から戻ると庭のアイリスたちが、それぞれにいっせいに咲きはじめた。いちばん早いのがジャーマン・アイリス、それからシベリアアヤメ、黄色のハナショウブ、青のカキツバタかアヤメか。オランダアイリスも。
青いカキツバタと思っていたがどうやらアヤメらしい
かすかに薄紫のシベリアアヤメ
別の箇所では、真っ白なシベリアアヤメもまじっている
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めいぜりふ
「いずれがあやめ、かきつばた」
しょうぶもあって見分けはかたし
ただ、いまだもって分からないのが,カキツバタ、ショウブ、アヤメの違いである。それらは花弁の紋様で見分けられるとある本で読み、ネットで調べてみるとやはり以下のように、白い根元の筋がカキツバタ、黄色がハナショウブ、そして編目のがアヤメということになるようだ。水環境の違いで、生える場所もそれぞれ微妙に異なる。しかし、名前をかえるほどの違いはなさそうで、みんな同じ兄弟、姉妹?といったところだろう。
ネットより、3つのアイリスの違い
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はな菖蒲
黄、黄と鮮やか初夏のいろ
雨落つ庭にそぼ濡れ咲けり
キハナショウブ
日本のアヤメや菖蒲の起原は?江戸時代になると盛んに栽培されたが,はたしていつからあったのか?万葉集第4巻に、たった一つだけそれらしき花を歌った歌が残されている。中臣郎女が大伴家持に送った恋の歌
「をみなへし咲く沢に生ふる花かつみかつても知らぬ恋もするかも」
一説に、その花かつみという花が、花菖蒲だったのではないかとされている。とにかく想念の鳥、鳳凰のように、めずらしいこの世のものとも思われない不思議な花であったようだ。郎女はおのれの恋をその花に喩えたのだろう。
株が年ごとに広がっていく白と紫のジャーマンアイリス
黄と赤のジャーマンアイリス
青のジャーマンアイリス,我が家にはたった一株の稀種
日本画によく描かれるアヤメ、カキツバタは、例えていえば、清楚な和服姿の凛とした女性を思わせる。同じアイリスでも、ヨーロッパで品種改良として作られたジャーマンアイリスやオランダアイリスは、はなやかなカクテルドレスを纏った皇女か社交界のブロンド嬢のよう。やはりそれぞれの民族の美意識がアイリスの育種にも反映しているのだろうか。素朴なシベリアアヤメはそれら全ての原種かもしれない。
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えぞつゆのあめ吸いこむや
凛と伸ぶはりつむ茎に
蝶舞ふがごと
わが家の小さな菖蒲園
アヤメが咲き終わると札幌もいよいよ夏になる。花も、もうすぐに紫陽花や薔薇の季節になっていく。