階段のあいだみつをのカレンダー The calendar of Mitsuo Aida hung at the stairs
2706 (回想15) 黒砂糖ふくらし粉まぜしカルメラのあま苦き味よごちそうのグルメThe homemade caramelo made with brown sugar and baking powderHow nice it's bitter sweet taste was
It was really gourmet of a treat at that time
ほかにどんなお菓子があったのだろう。クリスマスのチョコやビスケットくらいしか思い出せない。だから手製のカルメラは子供には最高のごちそうだったのだ。
2707 (回想16) 道のわき田んぼの畦のシジミとりせりも繁茂しそれも食せし
Scallop shellfish catching and
Japanese parsley collection
From the ridge of a rice paddy way
Those could also be eaten
いづれも食べ物に関わる思い出だ。いったい毎日何を食べていたのかとんと思いだせない。ただ、特別な行事だったきな粉ひきやカルメラ作り、しじみやせりとりなどの場面が大切な宝物のように蘇ってくる。
2708 (回想17) 生け垣に逃げこむ野良猫仲間して石ぶつけたは幼き悔恨
My Childish Regret was・・・・
We bumped the stray cat which runs into a hedge
With small stones
We almost killed the cat with unconscious cruelty
いつも、遊び仲間と徒党を組んで行動していた。いいことも、悪いことも。ある時、役場の生け垣に逃げ込んだ野良猫を、みんなで石をなげていじめたことがあった。生き物好きのじぶんなのに、みんなと一緒になってむきになってなぜあんなことをしたの?と、なんとも後味が悪く、しばらく幼心にも悔恨の念が消えなかった。ひとりひとりの意思というより、ある種の集団心理みたいなものが働いてしまったのに違いない。
2709(回想18) ミミ消えて年すぎしころ突然に家に帰りて翌朝に死す
After a year of missing
Mimi, our kitten, returned to our house
She died on next morning at the barn
She returned only for her dying
家族で可愛がっていた子猫のミミがある日突然いなくなった。どこをさがしても見つからない。そしてみんながもう忘れてしまって一年も過ぎたころ、また突然に納屋に戻ってきていた。びっくり。「いったいどこにいたの?」とすっかり痩せ細ったミミの帰還を家族全員でよろこんだのもつかの間、翌朝、納屋で静かに死んでいた。「飼い主を忘れずに死ぬ前に帰ってきたんだね」と母や姉が言っていた。いじらしかった。それ以後我が家では何匹か猫を飼ったが、名前はみんなミミとつけられた。
家の階段の踊り場の猫とねずみ The cat and the mouse placed on the stairs