685、はるかなるいわき平: 草野新平とボルダロ(回想のいわき平 5) |
あれから60年以上が経っている。
あの当時、平と呼ばれていた町は今はいわき市となり、平はいわき平といわれるようになった。8年前の東北大震災では大きな被害を受け、今もその復興のさなかと思われる。一緒に遊んだあの当時の友達たちはどうしているのだろう。あれ以来一度も平を訪れるチャアンスがないまますぎてしまった。
平は [カエルの歌」などで名高い朴訥とした詩人の草野心平が活躍した地でもあり、山村暮鳥が滞在し叙情歌を残した地でもある。その二人の名は、名前だけは父が心平のファンでよく聞かされていたが、低学年の小学生にそれがどういう詩人なのか分かろうはずもなかった。でも今は、あのズーズー弁の素朴な平の生活が、草野心平と重なって思い出として蘇ってくる。
A Taira-born poet Shinpei Kusano and a frog drawing
ボルダロは草野新平と同じように詩人だったのだと思う。その詩心を陶器というかたちで表現したのではないかと。もちろんこの二人に接点があったはずがない。つながりを見るのはあくまで自分のなかの幻想で、カエルを愛したふたりの詩情に何かしら通じるものを感じたのだ。ボルダロがどういう人かはよく知らないのだが、新平とボルダロ、磐城平とポルトガルの小さな街ライーニャ、自分にとっては偶然に見つけた面白いとり合わせということになる。あとで触れることになるが、ポルトガルという国はなんとも詩情に溢れた詩人たちの国であるというのが、はじめてここに訪れた自分の強い印象となった。
A pottery work of Bordalo Pinheilo "wild dance of frog" . It is very expensive, unaffordable, so bought the small dishes made with the motif of eggplant, little bird as a memorial
Taira's Speciality, sea urchin cake packed in a shell
After leaving Taira
Even though I eagerly wanted to visit sometimes
It was not realized until now
Taira is far away for me
やっといわき平の生活に慣れてきたと思ったら、父の仕事の転勤で2年でまた引っ越し。今度は群馬の高崎だと云う。この時も、どんな生活が待っているのだろうかと子どもながらに心配になった。兄弟みんな同じ思いだったに違いない。母親は、別れが辛くて、引っ越しの度にいつも涙を流していたのを思い出す。